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9. 錦鯉の病気

6年も錦鯉と生活していると、いろいろな病気にかかります。私が一番衝撃を受けたのが横になったまま泳ぐというもの。浮いたり沈んだりはするものの、体を真っ直ぐに出来ない状態でした。
そうなったのは健康そのもののはずのキンちゃん。
朝にエサを食べなかったのが気になり、仕事に出る前にもう一度部屋へ戻ると左半身が水面に向いた状態でした。夢中で水槽を揺らすとヒレで反応はするのに横に向いたまま。これはイカン、絶対にイカン。
急いでバケツを準備して、会社にキンを連れていく事にしました。幸い、会社には部下しかいない日。『本当にごめん、今日だけだから!隅に置かせて!』
死にかけに見える錦鯉に気色悪そうな顔をする人もいました。縦になるように休憩の度に体勢を戻し、真っ直ぐに泳ぐよう祈りました。お願い、お願いだから。
そんな日に限って1時間程かかる会議がありました。『途中跳ねたらその時はごめんけどバケツに戻してあげて、それ以外は触らなくていいから。』
実際真横になった鯉なんて気持ち悪いだろうし、置かせて貰うだけで充分だったのでそれだけ頼んで私はオフィスを後にしました。
会議後に戻ってみるとさっきより元気になったキンちゃん。ホッと胸をなで下ろしました。
『大人しかった?』部下に聞くと、『気になって、チョコチョコ触っちゃいました、すみません。』と答えました。鯉が苦しくないように、たまに真っ直ぐにしてくれていたのでした。
『触るの怖ぇけど、やっぱ死んだらかわいそうやないっすか。』相変わらずの言葉遣い。でもそんな事どうでも良く思えて、人付き合いが苦手な部下の不器用な優しさはキンちゃんが助かったのと同じくらい本当に嬉しかったです。
その後、代わる代わる魚体を真っ直ぐにしたからではなく、人体からの塩分で回復したと分かりましたが、その事は部下には内緒にしています。

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